言葉使いは心遣い

8月3日 =編集者=

 

 部員からもらったさまざまな文章を読んで発信につなげる立場ですが、部内で当たり前のように流通している言葉でも、部外に広く読んでもらう文章の場合は別の言葉に変換することがよくあります。「新歓→新入生歓迎会」「アウト者→ケガで別メニューに取り組む選手」といった具合です。一見わずかな違いかもしれませんが、目にする読者は部外の方のほうが圧倒的に多く、アメリカンフットボールに直接関わったことがない方もいらっしゃいます。文章はできるだけ多くの方に理解してもらいたい、興味を持ってもらいたい。そういう思いがベースにあるので、「これは内輪の人にしか分からない言葉では?」という観点で逐一手直しします。対象となる読者のことをいかに慮(おもんぱか)れるか。言葉のひとつひとつに向き合うことの大切さを、部員とできるだけ共有するようにしています。
 慮るというと、アメリカンフットボールはつくづく「慮りのスポーツ」だと実感しています。読み合い、だまし合い、化かし合いにおいて対戦相手の脳内をどこまで透視できるか。わずかなしぐさ、微妙な変化や空気を感じ、相手がやろうとしていることや嫌がることにまで思い巡らすことができるか。走る、ぶつかる、の能力ももちろん大事ですが、「自分が相手の立場なら」という洞察力と思考力がモノを言います。
 そうした慮る力が高い人は、人間としても選手としても貴重な存在となりえているように思います。力を正の方向に発揮すれば仲間を楽しませる高いコミュニケーションが取れるし、負の方向であれば対戦相手が嫌がる読みをズバズバ当てる選手になれる。正負どちらでも使っている頭脳は同じなのではないでしょうか。
 この「相手を思う力」、文章を書くときにも大いに影響してくるように思います。「この言葉は部外の人が読んでも理解できるだろうか」と相手の立場に立ってみる。「この表現で相手はどう感じるだろうか」と想像してみる。言葉遣いは心遣い。言葉ひとつの扱いでも、それを繰り返していればフィールドで慮る力にもつながってくるものがあるのではないか。受け取った文章を前にして、そんなことをぼんやりと感じています。

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