言葉の浸透力

5月24日 編集者

 

 OBのチームスタッフとして、また技術・戦術コーチではない立場で部と関わっていますが、そこでひとつ気を付けていることがあります。それは、部員との会話の中で「○○すべき」「○○しないといけない」という言い方を極力避けることです。

 勝負の世界では、そうした“shoud”や“must”を使って説得する局面は確かにあります。ただ、技術や戦術について指導的立場ではない状況にいて、「後輩がもっと伸びるためにはどういうアクションを起こすのが最適か」と考えると、「『理解してもらう』ための最適な言葉遣いをしてみる」という発想に自然と行き着いたように思います。

  練習後のグラウンドサイド。部員と1対1で話し込む状況です。「AするためにはBをしないといけない」と言いたいところを、「Bをすれば、君はAできる」と言い換えてみる。あるいは「CになるためにはDすべき」という思いを「DできればCになれる」と言い換えて伝えてみる。マインドのあり方や人間面を語る時、shouldやmustを“can”に変換してみることで、考えがすっと相手に浸透していく感触があります。人間、誰しも権限のない人から硬質の言葉を受けると、思考はそれと同じように硬化してしまうもの。ただ、Mustが相手の思考の殻を「突き破ろうとする」のなら、雨水のように染み込んでいくのが“You can”なのでしょう。

  ただ、その言い方は一見回りくどいものです。言葉足らずで響かないこともあります。しかし、その考えを受け入れるかどうか、相手が選択できる余地を残すことができます。そういう意味では、「その部員自身の考え」に置き換わるまでの近道と言えるのかもしれません。

  パルーカスは常に上に向かってチャレンジするチームです。結果を求めるにあたってコーチから、あるいは部員間で厳しい言葉が飛ぶ場面ももちろんあります。それは必要なことです。ただ、一歩引いた立ち位置にいる人間が、別角度からの見方をどれだけ提供できるか。「You can……,if you……」。いつも言葉選びに悩みながらの会話です。

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